16
10
朝日が登る頃、寝室を覗いた私は妙なものを見つけた。
布団の端からあらぬ物体が顔を出している。
「ハッシュドポテトだ」
妻は眠たそうに目をこすりながらそれを見た。
「やだ、なによこれ……。タクちゃん……?」
人気を感じて振り返ると、黒いローブに身を包んだ怪しげな老婆がすぐそばに立っていた。
「あんた、俺達の息子に何をした」
ふぉふぉふぉ、と欠けた歯の合間から空気を零して、そいつは言った。
「ポテトばかり食わしとるからじゃ」
妻はすっくと上半身を起こし、パジャマ姿で老婆の前に屹立した。そしておもむろに口を開いた。
「おいババア、こっちは大変なんだ。健康的なものばかり食ってくれるなら、あたしだってそうしたいんだよ!!」
壮絶な剣幕にたじろいだ魔女はいや、反省してるなら、とかなんとかもごもご言って撤退していった。
妻はきっ、と私を睨んだ。
コーヒーを手に部屋に帰ると、息子は元の姿に戻っていた。
布団の端からあらぬ物体が顔を出している。
「ハッシュドポテトだ」
妻は眠たそうに目をこすりながらそれを見た。
「やだ、なによこれ……。タクちゃん……?」
人気を感じて振り返ると、黒いローブに身を包んだ怪しげな老婆がすぐそばに立っていた。
「あんた、俺達の息子に何をした」
ふぉふぉふぉ、と欠けた歯の合間から空気を零して、そいつは言った。
「ポテトばかり食わしとるからじゃ」
妻はすっくと上半身を起こし、パジャマ姿で老婆の前に屹立した。そしておもむろに口を開いた。
「おいババア、こっちは大変なんだ。健康的なものばかり食ってくれるなら、あたしだってそうしたいんだよ!!」
壮絶な剣幕にたじろいだ魔女はいや、反省してるなら、とかなんとかもごもご言って撤退していった。
妻はきっ、と私を睨んだ。
コーヒーを手に部屋に帰ると、息子は元の姿に戻っていた。
ファンタジー
公開:20/11/06 07:00
さまようアラフォー主夫
ログインするとコメントを投稿できます