ヘアースタイル
1
2
「おい」
鏡の奥に姉が立っている。物凄く不機嫌そうだが、俺は別に反応しない。
「30分経ってんだよ」
2歩詰め寄って来た。が、俺に譲る気はない。たとえ相手が付き合いたての恋人や赤ん坊であっても、絶対に譲らない。
「いい加減に代われ! 近未来のオブジェみたいな髪しやがって!」
朝に似合わない声量で叫び、姉は襲って来た。腕を引っ張られた衝撃で、左手に握っていた櫛が、左の側頭部に突き刺さった。美しい曲線が乱れたのだ。
「オイッ!!」
「早く代われ!」
「毎朝うるせぇんだよ! 1枚布みたいなダサイ髪しやがって!」
「これが普通なんだよ! スタンダード!!!!」
姉の急所が光って見えるほど俺は怒り、拳を握っていたが、その前に髪の直さねば。
櫛を引き抜くと、それに伴って幾本の毛束がひらりと垂れ下がる。初めは乱れだと思ったが、自然的な美を感じた。
「姉さん……」
「代われ!」
鏡の奥に姉が立っている。物凄く不機嫌そうだが、俺は別に反応しない。
「30分経ってんだよ」
2歩詰め寄って来た。が、俺に譲る気はない。たとえ相手が付き合いたての恋人や赤ん坊であっても、絶対に譲らない。
「いい加減に代われ! 近未来のオブジェみたいな髪しやがって!」
朝に似合わない声量で叫び、姉は襲って来た。腕を引っ張られた衝撃で、左手に握っていた櫛が、左の側頭部に突き刺さった。美しい曲線が乱れたのだ。
「オイッ!!」
「早く代われ!」
「毎朝うるせぇんだよ! 1枚布みたいなダサイ髪しやがって!」
「これが普通なんだよ! スタンダード!!!!」
姉の急所が光って見えるほど俺は怒り、拳を握っていたが、その前に髪の直さねば。
櫛を引き抜くと、それに伴って幾本の毛束がひらりと垂れ下がる。初めは乱れだと思ったが、自然的な美を感じた。
「姉さん……」
「代われ!」
その他
公開:20/11/03 00:09
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