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「どうしたタヌ公、シケたツラして」
「あ、お狐様…いやもう腹が減っちまって」
「そいつぁいけねえ。これ食いな」
白狐は気前よく酒と稲荷寿司を勧めた。
「あの、ご主神様は…」
「主神?ウカノミタマ様かい?今日は朝から出かけたぜ。だからゆっくりしていきねえな」
「お狐様はようござんすね。ちゃんと仕事もあるし、お供物のご相伴にも与れて」
「よせやい。まあ困ったらまた寄りな」
数日後、狸は何とか算段して蕎麦を拵えた。せめて具の一つでもと天ぷら屋の裏口から忍びこみ、天かすを一掴み失敬して蕎麦の上に散らすと、件の稲荷社へ急ぐ。
ウカノミタマ様の前に出た狸は、お供物を頂いた礼を述べ、徐に蕎麦を差し出した。
ちょうど腹が減っていた神様は大喜び。ぺろりと平らげて言った。
「大層美味なり。以後たぬき蕎麦と称し、きつねうどんと共に広く愛されるべし」
たぬき蕎麦由縁のお噺でありました。
とっぴんぱらりのふう
「あ、お狐様…いやもう腹が減っちまって」
「そいつぁいけねえ。これ食いな」
白狐は気前よく酒と稲荷寿司を勧めた。
「あの、ご主神様は…」
「主神?ウカノミタマ様かい?今日は朝から出かけたぜ。だからゆっくりしていきねえな」
「お狐様はようござんすね。ちゃんと仕事もあるし、お供物のご相伴にも与れて」
「よせやい。まあ困ったらまた寄りな」
数日後、狸は何とか算段して蕎麦を拵えた。せめて具の一つでもと天ぷら屋の裏口から忍びこみ、天かすを一掴み失敬して蕎麦の上に散らすと、件の稲荷社へ急ぐ。
ウカノミタマ様の前に出た狸は、お供物を頂いた礼を述べ、徐に蕎麦を差し出した。
ちょうど腹が減っていた神様は大喜び。ぺろりと平らげて言った。
「大層美味なり。以後たぬき蕎麦と称し、きつねうどんと共に広く愛されるべし」
たぬき蕎麦由縁のお噺でありました。
とっぴんぱらりのふう
その他
公開:20/11/03 00:02
更新:20/11/14 19:15
更新:20/11/14 19:15
勝手に『たぬき祭り』開催 笑
gonsukeさん
→たぬぽんさん
→射谷友里さん
→秋田
たぬき蕎麦の定義
関東=蕎麦に天かす
関西=蕎麦に油あげ
だそうですが、ホントかな(笑)
#95
2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnoteと公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません
【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・note×Panasonic「思い込みが変わったこと」コンテスト 企業賞
・SSマガジン『ベリショーズ』掲載
(Kindle無料配信中)
【近況】
第31回やまなし文学賞 佳作→ 作品集として書籍化(Amazonにて販売中)
小布施『本をつくるプロジェクト』優秀賞
【note】
https://note.com/akishiba_note
【Twitter】
https://twitter.com/CNecozo
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