電話ボックス上昇中☆

　電話ボックスに入ってから、丸一日が経過している。やってしまった……きっとこれは、呪いの電話ボックスなのだ。
　見つけたのは、ランニング中だった。「涼しくて眺めの良い場所へご案内☆」という案内板に釣られてボックスに入ると、急に上空に向かって動き出したのだ。さながら、エレベーターのように。
　もちろん、扉は開かない。電話も通じない。
　どうして、あんなに怪しい謳い文句に誘われてしまったんだ。走り疲れて暑かったとはいえ……。
　きっと、これは人食い電話ボックスなのだろう。中の人間が餓死するまで止まらないのだ。僕は、死ぬまでここに閉じ込められたまま……。
　――そのとき。
　ガコン！と、ボックスの動きが止まった。
　あれ?到着したのか……あ、扉が開いた!出られるぞ!
　しかし、続いてやけに元気な音声案内が流れてきた。
『エベレスト山頂で～す☆涼しくて、星が綺麗なエベレスト山頂でございま～す☆』