夕暮れ自動販売機

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雨にも負けず
風にも負けず
雪にも夏の熱さにも負けぬ丈夫な体を持ち
みんなからでくの坊と呼ばれ褒められずとも苦にはせず
ずっとその場に立ち、みんなに笑顔を提供する
そう言う者に私はなりたい

それが昔から病弱で一歩も外に出られなかった私の唯一の願いだった。
私には分かっている。私の寿命はもう長くない事を。
だからこそ今度生まれ変わったら健康な体でありたい。

そんな事を考えていた時、私の隣に死神が突如現れた。
「ふぉふぉふぉ、苦しいかい。お前の推察通りお前の寿命はあと三日の命じゃ」
「たったの三日?」
「いいや、三日もあるのさ。ここで相談なのじゃが私にその三日分の命を提供して貰いたい。その代わりにお前が生まれ変わったら丈夫な体と職を与えてやろう」
「本当ですか」
「ああ、死神が嘘を付いてどうするんだい」
「分かりました」

こうして私は夕暮れが綺麗に見える高台の自動販売機に生まれ変わった。
公開:20/11/04 06:04
更新:20/11/04 06:09

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