一人の人

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 やりたいこともなかったので、朝から座椅子に座って壁を見ていた。喉が渇いたと感じたので、仕方なく立ち上がった。立ちくらみをした。冷蔵庫にあったコカコーラを一口飲んだ。歯がテカテカになった。立ち上がったついでに、カーテンを開けて外を見た。家の前にあるラーメン屋に並ぶ人々、車、車、灰色のマンション。私は退屈だと感じたので、座椅子に戻った。また壁を見た。こんなことをしていていいのか、と思った。私はただ壁を見ていただけなのに、こんなことが思い浮かんでくるのは面白いと思った。私は笑っていたが、壁を見ていただけの人間が笑うのはおかしいと思い、笑うことをやめた。笑うことをやめると、急に悲しくなった。誰かの声が聞きたいと思った。ラジオをつけたが、そこから聞こえてくる声は私を慰めはしなかった。私は、寂しい、という人間の気持ちをあまり理解していなかったが、今の私は、寂しいのかもしれなかった。私は、笑った。
その他
公開:20/11/04 01:24

杉将

基本的に、無、です。

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