運の良い話

0
2

私には一人娘がいる。赤ん坊の頃に別れ、それ以来会っていない…
酷い親だと思うだろう?そう、私は酷い親さ…
若い頃から魔法の才能に満ち溢れ、その力に溺れた。私は何だって出来ると思いこんでいたのさ。
だが愛する夫を事故で亡くした時、私は初めて心にぽっかりと穴が開き、無力という名の悲しみを知った。
私は一人娘を置いて辛い現実から逃げた。逃げて逃げて…やっと家に戻って来た時には娘はいなくなっていた…最低だろ?
それからは罪滅ぼしの為にと人助けを始めた。醜い老婆の姿で多くの子どもを助けた。それでも私は私を許せなかった。
そんなある日、私は舞踏会に行けないと嘆く少女と出会った。
一目見て分かった。彼女は私の娘だ。
だが、罪深い私は彼女に何も告げてはいけない。代わりに精一杯の祝福を授けた。
彼女は馬車に乗る前に私に言った。
「ありがとう、お母さん」
私と彼女は今日の運命の巡り会わせに涙とともに感謝した。
ファンタジー
公開:20/11/03 19:18

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容