内覧
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「スリッパどうぞ」
小林は家族で中古の一戸建て住宅を内覧に来た。娘が長い廊下をじっと見て、「わんわんがいる!」と叫ぶ。
「たまに遊びに来るんですよ。連れていきまので」
気にしない様子で小林夫婦と娘は家の中に入った。
「良いわね、この広いベランダ。明るいし、芽衣も遊べるわね」
「いいね」
娘の芽衣は、犬と戯れている。
「こちらは寝室と、子供部屋です」
「へえ、いいね。住みやすそう」
「以前はどちらにお住みになってたんですか?」
「夫の実家に身を寄せていたんですど、取り壊しになっちゃって」
「そうでしたか。では、こちらにサインを」
林夫婦は、書類を覗き込む。
「保証人は、兄夫婦で良いですか?」
「ははは、ご冗談を。生きている人には頼めないでしょ」
「あ、そうか。もう死んでるんだった」
そう言って家族はふっと消えた。
「あのお、もう入って良いですか?」
玄関口で内覧に来た客が部屋を覗き込んだ。
小林は家族で中古の一戸建て住宅を内覧に来た。娘が長い廊下をじっと見て、「わんわんがいる!」と叫ぶ。
「たまに遊びに来るんですよ。連れていきまので」
気にしない様子で小林夫婦と娘は家の中に入った。
「良いわね、この広いベランダ。明るいし、芽衣も遊べるわね」
「いいね」
娘の芽衣は、犬と戯れている。
「こちらは寝室と、子供部屋です」
「へえ、いいね。住みやすそう」
「以前はどちらにお住みになってたんですか?」
「夫の実家に身を寄せていたんですど、取り壊しになっちゃって」
「そうでしたか。では、こちらにサインを」
林夫婦は、書類を覗き込む。
「保証人は、兄夫婦で良いですか?」
「ははは、ご冗談を。生きている人には頼めないでしょ」
「あ、そうか。もう死んでるんだった」
そう言って家族はふっと消えた。
「あのお、もう入って良いですか?」
玄関口で内覧に来た客が部屋を覗き込んだ。
ホラー
公開:20/11/02 12:06
怪談
内覧
射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。
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