事故物件

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僕は幼い頃から霊感が強かった。
うちは母子家庭で、田舎から都内に引っ越ししてきた。
ごく一般的なアパートだったが、部屋に入るなりどす黒い何かを感じて寒気がした。
夜になると不安は的中した。それが現れたのだ。眠ろうとした時、部屋の隅に何かぼやけたものが浮かんでいる。それは女の幽霊だった。何かするわけではないが恐ろしい形相で僕を見る。
それは毎日現れた。夕食のとき、僕が急に震え出したので母は驚いた。
「また幽霊が出たの?」
僕はあまりの恐怖に言葉が出ず、ただ頷いた。
僕の怖がり方が異常だったのだろう。母は心配して結局その部屋からは引っ越すことになった。
それから数週間後のことだ。例のアパートで火事が起こったのは。僕の住んでいた部屋も丸焦げだった。
ある日、僕が偶然そのアパートの前を通ると玄関にあの幽霊がいた。
「僕を救ってくれたんだね」と僕は言った。
幽霊はうっすら微笑むと、煙のように消えた。
ホラー
公開:20/11/01 20:55

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