運の良い話

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夜道を歩いていると三味線という名の日本料理屋を見つけた。今夜はここで食っていくか。
店に入ると猫が私を出迎えた。『いらっしゃいませ。お一人様ですか?』
喋る猫に驚きながらも「ああ」と答える。一体どんな仕掛けだ?
『どうぞこちらへ』猫に案内されるがまま座敷へと通される。
『少々お待ち下さい』猫は器用に障子を閉めると立ち去った。
座敷を見回す。お品書きは置かれていない。注文の少ない店だな…と思っているとすぐに酒とお通しが運ばれてきた。
恐る恐る口にするとこれが非常に美味い!良い店に巡り合えたと己の幸運に感謝した。進む酒で顔が赤くなる。
そんな顔が会計時に青くなった。味同様、値段も一級品である。「こんな金額払えない」と情けなく声を震わせた。
猫が大きな桶を持って私に近づく。まさか身包みどころか皮まで剥ぐつもりか?
『お会計はこちらの方に頂いております』
たくしぃと書かれた桶の中、私の愛猫がいた。
公開:20/11/02 19:19

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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