リモート飲み会い

息子の部屋から楽しそうな声がする…
電話かな？いや、他の人の声もする。
テレビかな？いや、息子と会話する人の声がする。
気になって息子の部屋をノックした。
「あっ！ごめん母さん。うるさかった？」
「ううん…楽しそうな声がしていたから誰か来ているのかと思って」
「ああ、今リモート飲み会やっているんだ」
息子はそう言ってパソコンの画面を私に見せる。そこには可愛らしい女性が映っていた。
「コロナが落ち着いたら、ちゃんとウチに連れてきて紹介するからさ」
ああ…そう言うことね。

と、先程あった出来事を私は夫に報告する。
画面の中、今遠く離れた場所で暮らしている夫は酒を片手に大笑いしている。
「今日のあなた、凄く嬉しそうに見えるわ」
画面の中、夫の遺影を前に私も一人リモート飲み会を始めた。
きっとあの人も今頃天国で、私の報告を肴に美味しいお酒を飲んでいる事だろう。