縁ピツスケッチ
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「迷うことないじゃない」
机の前で進路に頭を悩ませている私に母さんは言った。高校で管弦楽部に入部した私はバイオリンの魅力に取り憑かれ、音大に進むべきか悩んでいた。でも、今まで音楽に縁のない生活を送ってきたのに...
すると、母さんは鉛筆を一本、私の前に置いた。
「これは自分に縁があるものを描くことができる縁筆よ。心配なら描いてみなさい」
言われるがまま、バイオリンを模写してみた。しかし、紙には何も描けない。どんなに筆圧を強めても白紙のままだ。
「私には縁がないのね」
「そう?私にはあるみたい」
母さんの画用紙には、壇上で楽しげに演奏する私が描かれていた。耳を澄ますとバイオリンの音色が聞こえる。演奏中の私がチラリとこちらを見た。
私も彼女みたいに…
感情に突き動かされ、私は縁筆を置き、バイオリンを手に取った。音に合わせるように弦を弾くと、イラストの私は口を開けて笑ってくれた。
机の前で進路に頭を悩ませている私に母さんは言った。高校で管弦楽部に入部した私はバイオリンの魅力に取り憑かれ、音大に進むべきか悩んでいた。でも、今まで音楽に縁のない生活を送ってきたのに...
すると、母さんは鉛筆を一本、私の前に置いた。
「これは自分に縁があるものを描くことができる縁筆よ。心配なら描いてみなさい」
言われるがまま、バイオリンを模写してみた。しかし、紙には何も描けない。どんなに筆圧を強めても白紙のままだ。
「私には縁がないのね」
「そう?私にはあるみたい」
母さんの画用紙には、壇上で楽しげに演奏する私が描かれていた。耳を澄ますとバイオリンの音色が聞こえる。演奏中の私がチラリとこちらを見た。
私も彼女みたいに…
感情に突き動かされ、私は縁筆を置き、バイオリンを手に取った。音に合わせるように弦を弾くと、イラストの私は口を開けて笑ってくれた。
その他
公開:20/10/31 17:31
更新:20/11/02 08:08
更新:20/11/02 08:08
マイペースに書いてきます。
感想いただけると嬉しいです。
100 サクラ
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