サッカーの神様

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五歳になる息子と主人が、公園でサッカーボールを蹴り合っている。私はベンチに座って、その光景を夢のように眺めた。



「私達、悟君が好き。この中で誰が好き?」
小学三年生の春、私を含めたクラスの女子六人で、成績優秀、サッカーも上手な悟君に告白した。
彼は少し考えて、「美奈」と、私を選んでくれた。
こうして、私達はクラス公認のカップルとなった。
一緒に給食を食べたり、下校したり、楽しい日々はあっという間に過ぎて行った。


三年生も終わりに近付いたある日、突然悟君が転校することになった。
事情が有って、父方の祖父母が暮らす田舎へ家族で移住すると、担任の先生から聴かされた。
私達は、小学校のサッカークラブに所属していた。お互いサッカーを続ける約束をして、別れた。







「ママー、ボール蹴って」

私は、ベンチから立ち上がり、足元に転がってきたボールを、五月晴れの空へ高く蹴り上げた。
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公開:20/11/01 16:16

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