それから彼と会うことは無かった

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小学生の頃、苦手な男子がいた。何かにつけてちょっかいを掛けられるし、私の邪魔をするし、大嫌いだった。
「やめてよ」
「べーっだ!」
何度もそんなやり取りを繰り返した。けど、彼は一度だって私にちょっかいを掛けるのを止めなかった。
その度に私は嫌な思いをしていた。



数年後、私達は小学校を卒業した。私は受験をして私立の中学へ。
大嫌いな彼は、公立の中学へ進学した。
(ようやく解放された)
心も軽やかに、私は公立中学とは正反対の方向にある私立中学へ通い始めた。



私の家は、公立中学の通学路の途中にある。ある日、家に帰って、玄関の扉を開けようとした時。
「···あ」
「え」
彼と目が合った。私とは違う、中学の制服を来た彼と。
「えっ、と···」
「学校、楽しいか?」
「え?」
突然の質問に、慌てて首を縦に振る。すると、彼は、少し寂しげに笑って、
「良かった」
それだけ言って、帰って行った。
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公開:20/11/01 12:54

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