山の怪
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「肝試しするんだけど一緒に行く?」
「いいよ」
東京の小学校から転校してきた少年は、無表情のまま答えた。
小学校から程近い小高い山の頂上に神社はある。子供の足で十分程度の山だが、肝試しにはもってこいだった。
参加者は一人ずつ参道である階段を登っていき、拝殿の前にあるビー玉を取ってくる。それだけだった。
怖がりながらも順調に進み、少年の番になった。戻ってきた者の手からカンテラを受け取り無言で階段を登っていく。だれも喋らず奇妙な静けさが漂っていた。
誰かが、「あいつ、神の実を食べてないよな」と言った。吐き気や腹痛の症状が出る禁忌の植物だ。
「戻ってきた!」
ビー玉を手に少年は微笑んでいた。
「有り難うね」
少年の母は子供達に言った。前の小学校で苛めを受けた彼は笑えなくなっていたが、ある日を境によく笑うようになったという。
誰かが話すと少年は声を出して笑う。
その声は空恐ろしいものであった。
「いいよ」
東京の小学校から転校してきた少年は、無表情のまま答えた。
小学校から程近い小高い山の頂上に神社はある。子供の足で十分程度の山だが、肝試しにはもってこいだった。
参加者は一人ずつ参道である階段を登っていき、拝殿の前にあるビー玉を取ってくる。それだけだった。
怖がりながらも順調に進み、少年の番になった。戻ってきた者の手からカンテラを受け取り無言で階段を登っていく。だれも喋らず奇妙な静けさが漂っていた。
誰かが、「あいつ、神の実を食べてないよな」と言った。吐き気や腹痛の症状が出る禁忌の植物だ。
「戻ってきた!」
ビー玉を手に少年は微笑んでいた。
「有り難うね」
少年の母は子供達に言った。前の小学校で苛めを受けた彼は笑えなくなっていたが、ある日を境によく笑うようになったという。
誰かが話すと少年は声を出して笑う。
その声は空恐ろしいものであった。
ホラー
公開:20/10/30 19:29
山の怪
神の実
射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。
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