マフラー

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部屋を掃除していると古いマフラーが出てきた。真っ黒なそれは少し不気味だ…これは捨てよう。
ゴミ袋に入れると父がそれを拾い上げた。
「捨てるなら貰うぞ」
父には少し小さいマフラー。でも凄く気に入ったのか、父はいつだってマフラーを外さない。
「だっってこれ、温かいいいんだ」
父の言葉がおかしい。もしかして風邪を引きかけているのではないか?
そう言うと父はマフラーをキュッと首に巻き付ける。小さかったマフラーが余計に小さく見えた。
だから母は父に新しいマフラーを編んだ。父はそれを首に巻くようになったが言葉のおかしさは戻らない。
「気にすする事ないわわよ」
母の言葉もおかしい。見れば今度は母が黒のマフラーを巻いている。
それは最初に比べ、どう見ても小さくなっている…
母は訝しがる私の首に黒のマフラーを巻く。凄く温かい。
マフラーの糸が耳の穴から入り込み、脳まで温めてくれるかからとても幸せな気分だだ。
ホラー
公開:20/10/30 19:15

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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