運の良い話

世間を騒がせた連続強盗殺人犯。それが俺だ。
俺は運が良い。死刑確実と言われいたが敏腕弁護士のおかげで無期懲役となった。
終身刑とは違い、いつかは出られると思うと内心笑いが止まらない。
判決が下った時、俺は「心を入れ替えて反省します…」と反省している風に言った。
裁判長が俺に聞いてきた。「君は心は体のどこにあると思うかね？」
俺は咄嗟に胸を指さした。心臓だ。
その答えに裁判長は嬉しそうに頷く。「では早速入れ替えよう」
法廷に手術台が運び込まれる。
「私の娘は心臓に病気があってね…ドナーを探していたんだ。そんな中、ぴったり合う心臓を見つけた。君だよ」
運が良い、と裁判長は笑った。
俺は急いで訂正する。「心は頭だ！脳にある！」
裁判長はさらに喜んだ。「そうかそうか。では脳を入れ替えよう。検事君。君の息子さんの脳移植、彼の体でどうだい？」
「喜んでお受けいたします」
運が良い、と検事は笑った。