COSMOS

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一面に広がる秋桜の花芯にはいくつもの惑星がある。地球に似た紙土球、火星に似た赤星、木星に似た嵩星など、人の手で作られた八重咲きの花びらの内側には、銀河が広がっているのだ。
地球の人間は、惑星に自由に雨水をもたらすことができる。少し揺らしてみることもできるし、踏み潰すこともできる。
人間は花に問いかけた。
「どうしてそこに存在するのか」
花は答えた。
「人間が秩序のある世界を欲したんだ。自分の花なら大切にするだろう?」
整然と列になって並んだ秋桜の花びらが散って、ヒラヒラと風に舞う。
地球の中にある惑星、それは秋の束の間でしか存在しない。冬になれば、人々はそれを忘れ去ってしまう。そして、また秋になれば、新しい惑星が誕生する。
「どうかこの一瞬の瞬きを忘れないでほしい」
と、花は言った。
SF
公開:20/10/30 13:01
更新:21/02/21 18:05

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