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ノックの音が聴こえた。
掃き出し窓を見やると、胴体部だけで二メートルはありそうな巨大大根が庭先に突っ立っていた。
僕は少し迷った末、窓を開けてやった。
「どうも」
大根は申し訳無さそうにして部屋に入ってきた。葉柄がたわんで天井を擦り、細かい葉のかけらが宙を舞う。
大根はおもむろに座椅子に腰掛けた。骨組みが悲痛な音を立てる。僕の胸の奥が似たような音できしむ。
「吸ってもいいですか?」
「どうぞ」
大根は葉柄の合間からライターとパーラメントの箱を取り出し、一本つまんで火をつけた。深く煙を吸い、勢いよく吐き出す。
僕はキッチンへ行って二人分のお茶を用意し、部屋に戻った。
「どうも」
大根は話を切り出した。
曰く、彼らの世界の危機を救ってほしいのだとか。
「萌系の美少女が呼びに来るものかと」
僕が言うと、彼は巨大な胴体ごと頭を振った。
「不作で、どうにも」
異世界でも、現実は厳しいらしい。
掃き出し窓を見やると、胴体部だけで二メートルはありそうな巨大大根が庭先に突っ立っていた。
僕は少し迷った末、窓を開けてやった。
「どうも」
大根は申し訳無さそうにして部屋に入ってきた。葉柄がたわんで天井を擦り、細かい葉のかけらが宙を舞う。
大根はおもむろに座椅子に腰掛けた。骨組みが悲痛な音を立てる。僕の胸の奥が似たような音できしむ。
「吸ってもいいですか?」
「どうぞ」
大根は葉柄の合間からライターとパーラメントの箱を取り出し、一本つまんで火をつけた。深く煙を吸い、勢いよく吐き出す。
僕はキッチンへ行って二人分のお茶を用意し、部屋に戻った。
「どうも」
大根は話を切り出した。
曰く、彼らの世界の危機を救ってほしいのだとか。
「萌系の美少女が呼びに来るものかと」
僕が言うと、彼は巨大な胴体ごと頭を振った。
「不作で、どうにも」
異世界でも、現実は厳しいらしい。
ファンタジー
公開:20/11/04 07:00
さまようアラフォー主夫
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