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「バチなんか当たらないわよ」
元弁護士の魔女はそう言った。

「罪を感じていないものに、何かを与えたり奪ったりしたところで、効果的な結果は得にくいわ。ではどうするか?」
僕は続きを待って黙っていた。魔女は白々しく間を取り、そして言った。

「心を入れ替えるのよ」
「なるほど」
僕はなるべく関心を装って応えたつもりだったが、効果は薄かったらしい。なにせよく判っていない。

「興味なさそうね」
「そんなことありませんよ、魔法で罪の意識を与えるんですか?」
魔女は首を振った。それからフラスコに入れたなにやら怪しい液体を持ってきた。
「やっぱり、魔法の秘薬だかを飲ませるんじゃないですか」

曰く、その薬を飲んだものは長い夢を見るのだという。記憶をまっさらにされて被害者の人生を一から辿り、やがて自身に罪を犯されたとき、目を覚ます。

「どう、ちょっとは効果ありそうでしょ?」
恐ろしい魔女だと思った。
ファンタジー
公開:20/11/02 07:00

レオニード貴海( 某海なし県 )

さまようアラフォー主夫

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