嘘のようなホントの話です。メ〇ス風。怒られたら消します。

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キノコは激怒した。必ずや、かの邪智暴虐な家主を除かねばならぬと決意した。
キノコには事情が分からぬ。キノコは平凡な値段の椎茸だ。家主に買われ、野菜室の仲間達と遊んで暮らしてきた。
朝方、キノコはザルに入れられ、はるか離れた玄関の向こうに投げ出された。
初めて見る長い通路、煌々と光り輝く太陽。それに照らされ、キノコは理不尽さに腹を立てると同時に、野菜室の仲間達に思いを馳せた。
きっとこのまま干し椎茸にされるのだ。
そう考えていると、突然横風が吹いた。
キノコ達は叫ぶ間もなくあちこちに飛び散った。
ひんやりとしたコンクリートに転がり、もう拾っても貰えないのかと諦めた時、何者かがキノコに触れ、ザルにその体を戻した。
顔を上げると見慣れない顔。その時家主がドアの向こうから偶然顔を出した。
見慣れない顔は家主に言った。
「キノコ、うちの前に転がってたんでザルに戻しましたよ?」
家主はひどく赤面した。
その他
公開:20/10/31 00:05

紀奈子

ふと感じたこと、昔の思い出などを元に、日常のちょっとした事などを書いたりします。
拙い文章ではありますが、もし1人でも共感してくださる方がおられたら嬉しいです。
完全に自己満足の趣味なので、色々大目に見てやってください。
それにしてもアレですね、400文字に収めるって結構至難の業ですね。

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