男にしか見えない折り畳める机

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 『男にしか見えない折り畳める机』、という奇妙な家具が売られていた。しかし、N氏には小柄な折り畳み式の机にしか見えない。
「何が男にしか見えないのだろう」
 机の上に触れてみても、木のぬくもりを感じるだけ。
「あれ、たためない」
 通常、テーブルの裏にレバーがあり、引きながら足を折ると、折りたためたはずだ。しかし、肝心のレバーがない。
「どういうことだ?」
 しばらくの間机をいじくりまわしたが、根負けして妻を呼んだ。
「何言ってんのあんた。ただのウッドチェアじゃん。折りたためないし、そもそも机ですらないじゃないの」
 妻が座った瞬間、N氏は驚きのあまり地面にへたり込んだ。
 見た目が変わったわけではない。しかし、目の前にあるのは間違いなく、ただの木製椅子。
「待て、立ってくれ」
「もちろん」
 妻の臀部と椅子が離れた途端に、N氏は目の前の物体を、『折り畳める机』としか認識できなくなった。
SF
公開:20/10/30 22:20
更新:20/10/31 20:21

ゆぅる( 東京 )

お立ち寄りありがとうございます。ショートショート初心者です。
拙いなりに文章の面白さを追求していきたいと思って日々研究しています。
よろしくお願いします!

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