あの世にて
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おれは高校時代に自殺した。
親友があの世にくるのを何十年も待ち続け、ようやくきたときには、親友は見知らぬ大人たちに囲まれていた。
「おう、久しぶりだな」
親友は高校時代のように声をかけてくれたが、どうも気後れしてしまう。彼は社会の荒波に揉まれ、苦境を乗り越え、生涯を通じて大事な友をたくさん作っていた。
親友にひきかえ自分なんて、生きたのはたったの十六年間。バカなことを言い合う友達はいたが、ともに苦労を重ねた本当に親友と言える存在はいない。
自殺を後悔したがもう遅い。いまさら現世には戻れない。
そのとき、ふっと独りでたたずんでいる見知らぬ女性と目があった。おれが顔を向けると、彼女は目をそらした。
もしかしたら、おれと同じく、若くして自殺した女性なのかもしれない。
「ねえ、君はなんで死んだの?」
いつからも新しい縁はつくれるはずだ。たとえあの世でも。
おれは前を向くことにした。
親友があの世にくるのを何十年も待ち続け、ようやくきたときには、親友は見知らぬ大人たちに囲まれていた。
「おう、久しぶりだな」
親友は高校時代のように声をかけてくれたが、どうも気後れしてしまう。彼は社会の荒波に揉まれ、苦境を乗り越え、生涯を通じて大事な友をたくさん作っていた。
親友にひきかえ自分なんて、生きたのはたったの十六年間。バカなことを言い合う友達はいたが、ともに苦労を重ねた本当に親友と言える存在はいない。
自殺を後悔したがもう遅い。いまさら現世には戻れない。
そのとき、ふっと独りでたたずんでいる見知らぬ女性と目があった。おれが顔を向けると、彼女は目をそらした。
もしかしたら、おれと同じく、若くして自殺した女性なのかもしれない。
「ねえ、君はなんで死んだの?」
いつからも新しい縁はつくれるはずだ。たとえあの世でも。
おれは前を向くことにした。
青春
公開:20/10/30 21:39
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