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散歩中、公園のベンチで休憩のつもりが、うっかり寝てしまった。
音楽を聞いた気がして、時計を見れば夕方5時。普通は焦るところだが、俺は別の事が気になった。いつもの『夕焼け小焼け』じゃなく、それはワルツの3拍子だった。
時計塔の下、翻るドレスの列。逢魔が刻の昼顔が、蔓に連なって風にそよぐ様は、さながら小人の舞踏会だった。お揃いのピンクが曲に合わせてターンする。緑の冠がゆらゆら揺れる。スカートに隠れた脚は、どんな靴を履いてるんだろう?野暮を承知で知りたくなり、こっそりしゃがんで。
――きゃあぁぁぁぁぁ!!
甲高い不協和音。
「……つまり。いい年こいて、お花にスケベ心を起こした挙句、逆襲されました。朝帰りの言い訳がそれ?」
「本当なんだ。蔓でぐるぐる巻きにされて、身動きが……」
「ならいっそ、そのまま花の肥やしになれば?」
盛大な破裂音と共に、既に紅葉真っ盛りの顔へ、特大のモミジが刻まれた。
音楽を聞いた気がして、時計を見れば夕方5時。普通は焦るところだが、俺は別の事が気になった。いつもの『夕焼け小焼け』じゃなく、それはワルツの3拍子だった。
時計塔の下、翻るドレスの列。逢魔が刻の昼顔が、蔓に連なって風にそよぐ様は、さながら小人の舞踏会だった。お揃いのピンクが曲に合わせてターンする。緑の冠がゆらゆら揺れる。スカートに隠れた脚は、どんな靴を履いてるんだろう?野暮を承知で知りたくなり、こっそりしゃがんで。
――きゃあぁぁぁぁぁ!!
甲高い不協和音。
「……つまり。いい年こいて、お花にスケベ心を起こした挙句、逆襲されました。朝帰りの言い訳がそれ?」
「本当なんだ。蔓でぐるぐる巻きにされて、身動きが……」
「ならいっそ、そのまま花の肥やしになれば?」
盛大な破裂音と共に、既に紅葉真っ盛りの顔へ、特大のモミジが刻まれた。
ファンタジー
公開:20/10/30 21:09
散歩道で見た
シーズン3‐⑦
逢魔が刻のデビュタント
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
https://amzn.to/32W8iRO
ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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