一等賞の取り方

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人生で一度くらい、なにかで一等賞を取ってみたいものだと最近になって思うようになった。
思うようになったは良いが、さて一体どうしたものか。
三十年来の友人に相談すると、「なにを言ってる。今まで一切努力してこなかったお前が言うことか」と呆れた顔で笑われた。
確かにそうだ。
今まで特になにを頑張ってきたわけでもない。
待て待て。
そもそも一等賞とはなんなのだ。努力をしなければ取れないものなのか。
改めて友人に聞いてみる。友人は鼻で笑いながら、「その道で一番になることだろう。芸術でも運動でもそうだ。だから努力は必然だ」
必然、だろうか。
赤ちゃんが他の子より早くミルクを飲むことに、努力があるのだろうか。
友人はそう言う僕に目をやるとため息をひとつ。
「このどうでも良いくだらないことを、この瞬間において一番考えているのはお前だろうな」
なるほど。一等賞を取れたようだ。
案外、簡単なものだ。
その他
公開:20/08/28 20:31

碧色あをゐ

引っ越しをして、通勤時間が増えました。
なにをしようか考えた末が今です。
日々に少しのスパイスを。

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