エネミーズ

2
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轟音が大地を揺らす。56番と72番が耳を抑えて空を見ていた。
「やりやがった」
「ガスタンクはでしゃばり過ぎじゃないか」
その頃34番はひとりでぶつぶつ言いながら銃器の点検を続けていた。
「目立つだけじゃダメだ、やり方を考えないと……」
22番はビルの上階からスナイパーライフルを構えて、14番目のターゲットに狙いを定めていた。
とんとん、と肩が叩かれる。サングラスを掛けた黒服の男。
「殺しすぎ、メインより頑張っちゃダメだよ」
「げ、す、すみません」
44番は仲間を出し抜き、非常階段を駆け上がっていく。
「やめて!」縄で縛られたまま叫ぶヒロイン。
「こっちだ!」44番は誘導灯を振り、カメラと音声に拾われぬよう、ビルの外壁からヘリに向かってジェスチュアした。

「ということで、今年のエネミー賞グランプリは、方向感覚がヤバいヒーローの窮地を救った、雑魚の44番!」

会場に笑いと歓声が上がった。
その他
公開:20/08/28 14:59
空想競技

レオニード貴海( 某海なし県 )

さまようアラフォー主夫

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