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平原の真ん中にある廃駅のホームに三脚を立て、その上に一眼レフのカメラを乗せる。
ファインダーを覗くと、あの時から変わらないままの少女の姿が見える。
男は思わず、カメラの横から顔を覗かせる。もちろん、そこには誰もいない。

切ない思いがこみ上げてくる。
年末のオフ会でもひどく暴れてしまい、鉄オタ仲間からも敬遠されるようになった。

男はカメラを手に持ち、線路の上を歩き出す。
錆びた鉄、苔のむした枕木、まばらなバラストの残骸。

彼は徐に、草むらに向かってカメラを高く放り投げた。

アルミの筐体が中空で煌めき、茂みの中へと消える。
「ああ、なにやってんだよ」

まだまだだろ、何がそうなのかわからないまま、小さく呟いて走る。

あの頃は楽しかった、なんて、言いたくない。

「いいやつなんだぜ、まったく」
拾ったカメラのすぐ横で、小さな黄色い花が風に揺れていた。
空は狂ったように青い。

夏だ。
青春
公開:20/08/28 12:56

レオニード貴海( 某海なし県 )

さまようアラフォー主夫

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