新しい生活
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船から港が見えた。
もうすぐ自由の国だ。
奴隷のいない国。
アレクは張り切って網棚からスーツケースを下ろした。
船体が横波に大きく揺れる。
「危ない!」
マリーが倒れそうになったアレクの体を支えた。
「何やってんだ、マリー!」
アレクはむしろ彼女の体を心配して包帯の巻かれた細い腕に目をやった。
「ごめんなさい。最低だよね、一ヶ月も黙ってたなんて」
彼女は包帯を解いて綺麗に癒えている腕を見せた。
「なんで?」
「だって包帯してたら、みんな優しくしてくれるんだもん」
アレクはムッとなった。
「そんなことしなくたって、困ったら普通に助けてやるのに。もう家族みたいなもんだろ!」
「ごめんね。奴隷の私に優しくしてくれたの、君が初めてだったから。ごめん」
「二度と嘘はつくな!」
怒っても瞳の奥は温かかった。
アレクはマリーにこつんと軽いげんこつをくれてやった。
彼女の額に少し疼くような痛みが残った。
もうすぐ自由の国だ。
奴隷のいない国。
アレクは張り切って網棚からスーツケースを下ろした。
船体が横波に大きく揺れる。
「危ない!」
マリーが倒れそうになったアレクの体を支えた。
「何やってんだ、マリー!」
アレクはむしろ彼女の体を心配して包帯の巻かれた細い腕に目をやった。
「ごめんなさい。最低だよね、一ヶ月も黙ってたなんて」
彼女は包帯を解いて綺麗に癒えている腕を見せた。
「なんで?」
「だって包帯してたら、みんな優しくしてくれるんだもん」
アレクはムッとなった。
「そんなことしなくたって、困ったら普通に助けてやるのに。もう家族みたいなもんだろ!」
「ごめんね。奴隷の私に優しくしてくれたの、君が初めてだったから。ごめん」
「二度と嘘はつくな!」
怒っても瞳の奥は温かかった。
アレクはマリーにこつんと軽いげんこつをくれてやった。
彼女の額に少し疼くような痛みが残った。
青春
公開:20/08/29 12:23
最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。
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