密室山荘ー犯人の回想

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「なぁ、金はちゃんと戻すから、黙っていてくれないか。お前の隠し子の事も秘密にするから」
京子が声を落として言う。
「私の秘密は劇団には関係ないでしょ。話は終わりよ」
「なあ、頼むよ」
昭吾はキッチンに置いてあったナイフをそっと掴んだ。
「このイベントが終わったら告発するから、覚悟しておいて」
言い終わる前にナイフを突き立てていた。我に帰った昭吾がその場を離れたのを見て、美宇が駆け寄る。
「京子さん、お母さんしっかりして」
「やめなさい、私の子供はあなたじゃない。あっちに行っ」
美宇がナイフを抜き、もう一度刺した。
京子の目から完全に光が消えた。ナイフに付いた指紋をハンカチで拭き取るとトイレに駆け込んだ。何度も深呼吸を繰り返していると、階段を降りてくる音が聞こえた。
「わたしは女優」
人が集まって来るのを感じ扉を開けた。
「え、京子さん? 嘘だろ」
美宇には下手な台詞のように聞こえた。
ミステリー・推理
公開:20/08/29 09:57
リアルノベルゲーム 密室山荘ー犯人の回想 分岐がメインなのに笑 こっそり書くかも

射谷 友里

射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。

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