密室山荘ー終幕

「本当の事件で探偵に集められるとはね」
みどりは疲れた顔で言う。昭吾は離れたカウンターの側に立っている。
「推測した事を話してみたいと思います」
皆、固唾を飲んで二人を見守った。
「医大生の見解ですが、少し時間を置いて二度刺されていることから、犯人は二人いる可能性があります」
「同じ人物が二度刺したんじゃないですか？」
柳田智が挑戦的な物言いをする。
「誰かが京子さんが死んでいないのを見て、自分の犯行を隠す為に同じ場所を刺したと考えるのが自然だそうです」
「酷い！」
美宇がわあっと泣いて顔を手で覆った。智が肩を抱く。
「美宇さんですよね？ 二度目に刺したのは」
「まさか、何で」
智がきっと睨み付ける。
「京子さんに本当のお子さんがいると分かったからですよね？」
美宇が顔をあげた。
「昭吾さんが刺すところを目撃した、そうですね？」
冷たい目をした美宇の背中越しにサイレンの音が聞こえる。