増殖するラスク

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増山君がラスクをつけて出社した。ラスクとはカリカリした二度焼きの小さなパンのこと。
―マスクをつけると悲しい気分になっちゃうので。今日からラスクをつけることにしました。
小さな食パン形のラスクの左右からは白いゴムが出て増山くんの顔にぴったりとラスクが装着されていた。
―会社にラスクつけてくるなんてふざけすぎだぞ。それに肌荒れするぞ。固いだろ、それ。

隣に座るラスクは気になったが業務が山積みだったしどうせすぐに飽きるだろうと増山君の好きにさせておいた。午後2時。休憩室に行くとおみやげのまわりに人が集まっていた。箱の中には小分けのラスク。楕円のフランスパン形で袋を開けると甘いバターの香りが広がった。サクサクして美味しい。さて仕事に戻るか。

席に戻ってパソコンの画面を見る。タスク管理表を探したがなかなか見つからない。かわりに見つかったのはラスク管理表。明日もちゃんとデスクがあるだろうか。
その他
公開:20/08/28 20:57
更新:20/08/28 21:13

マーモット( 長野県 )

初投稿は2020/8/17。
SSGで作品を読んだり書いたり読んでもらえたりするのは幸せです。趣味はほっつき歩き&走り(ながらの妄想)。
 

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