永泳

臨海教室の初日は遠泳である。列になって泳いでいる生徒達に、私は船から一冊の本を読み始めた。

【遠泳】俗に川や湖、海などを長距離泳ぐ事を言う。特に日本では学校などで大人数で泳ぐ事が多い。元々は江戸時代の罪人への処刑であった。死罪となった罪人達を同時に海で泳がせ、一人残った者のみ生き残れるという処刑である。実際には水中で醜い争いが繰り広げられ、生き残った者はいなかったという。生き残るには永遠に泳がねばならないため本来は永泳と呼ばれていた。なおエイエイオーの語源とも言われている。

私は本を閉じた。

「この海はその処刑で使われていた海です。今日は一番最後まで泳げた生徒だけが宿に帰れます」

生徒達の顔色が青くなった。

「先生！他の人はどうなるんですか？」

私は彼の言葉を無視し、彼らに叫んだ。

「エイエイオー！」

おや、一人水中に引きずられたようだ。

まぁ、お前らのご先祖を呪え。