夏休みの学校にて

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ぼくは時計。小学校の壁にかかっている時計。夏休みの暇つぶしに、仲間とかけっこをすることにした。おやつをかけての戦い、負けないぞ!

ぼくは懸命に針を交互に動かす。けれど、長針と短針の長さが違うからすぐに転びそうになる。ぼくだけずいぶんなハンデだよな。そう思って隣を見ると、コンパスが立ち止まってクルリと円を描いていた。どうやら、針が刺さるとつい癖で円を描いてしまうらしい。その隣では三角定規が地面に突き刺さっていた。勢いよく走っているうちに刺さってしまったようだ。なんとか抜こうともがいている。一番端ではクレヨンがピョーンピョーンと跳ねながら走っている。一本足だからなかなか大変そうだ。クレヨンの通った後には点々と色が付いていて、段々背が低くなっていく。

みんな、ハンデを持ちながらも一生懸命走っている。個性ある走りだ。みんながゴールした後、走ってきたコースにはそれぞれの頑張りの跡が付いていた。
ファンタジー
公開:20/08/27 14:47
更新:20/08/27 22:29
空想競技

いづみ( 東京 )

文章を書くのが大好きです。

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