幽霊部員
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今宵は天文部の夏合宿。
僕らはわいわいと冗談を言い合いながら、校舎の屋上で天体望遠鏡を組み立てる。
少し離れた所に見慣れない女の子が立っていた。
ウチの制服だ。
「あれ、もしかして新入部員?」
「いえ、私幽霊部員なんです」
「へえ」
こんな子がいたなんて知らなかった。
「君も星が好きなの?」
「星というより、この雰囲気かな」
屋上には部員達の賑やかな声が響いている。
彼女はちょっと淋しそうに瞼を細めた。
綺麗な横顔。
「だったら普段の部活も出ればいいのに」
「無理だよ」
「どうして? 困っていることがあるなら、俺相談に乗るよ?」
「ありがとう。嬉しいっ」
彼女はいきなり僕の腕に抱きついてきた。
その瞬間、夏とは思えない冷たいそよ風が僕を包み、背筋が凍りついた。
彼女の体は僕をすり抜けて反対側に出た。
「ね、無理でしょ?」
彼女の涙声。
その日、僕は夜の星よりも遠い世界があることを知った。
僕らはわいわいと冗談を言い合いながら、校舎の屋上で天体望遠鏡を組み立てる。
少し離れた所に見慣れない女の子が立っていた。
ウチの制服だ。
「あれ、もしかして新入部員?」
「いえ、私幽霊部員なんです」
「へえ」
こんな子がいたなんて知らなかった。
「君も星が好きなの?」
「星というより、この雰囲気かな」
屋上には部員達の賑やかな声が響いている。
彼女はちょっと淋しそうに瞼を細めた。
綺麗な横顔。
「だったら普段の部活も出ればいいのに」
「無理だよ」
「どうして? 困っていることがあるなら、俺相談に乗るよ?」
「ありがとう。嬉しいっ」
彼女はいきなり僕の腕に抱きついてきた。
その瞬間、夏とは思えない冷たいそよ風が僕を包み、背筋が凍りついた。
彼女の体は僕をすり抜けて反対側に出た。
「ね、無理でしょ?」
彼女の涙声。
その日、僕は夜の星よりも遠い世界があることを知った。
ホラー
公開:20/08/27 11:46
更新:20/08/27 11:47
更新:20/08/27 11:47
最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。
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