続・上り坂と下り坂

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「助手くん、坂は上りと下り、どっちが多いと思うかね?」
「確か、同じでしたよね」
「うむ、少しは賢くなっておるな。今回はこれだ、『いつでもノボリ……』」
「待ってください博士、私が命名します」
「なんだと」
「『トーハン力(りき)』で如何ですか」
「君のセンスも似たようなもんではないか……。コホン、この装置を靴に付けると、前に進むのに普段より力が要る。そう、まるで坂を登っているように」
「やりましたね博士」
「ああ、前回は楽な方に傾きすぎた。今回は皆、力を合わせて進むのだ。やはり苦労は買ってでもせねばならん」
「早速売り出しましょう!」

 そして思った通り売れなかった。誰も買ってまで苦労したくなかったのである。
 ただしアスリートにはまあまあ売れ、我が国のスポーツ成績は少しだけ上昇した。
SF
公開:20/08/28 09:38

八川克也

ショートショートは難しい。

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