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彼と付き合って約二ヶ月が経った。
今日は、彼と二人でキャンプ場に来た。
テントを張り終え、そこらの木の枝や葉を集めて焚き火をする。
「そうだ」
思い出したように、私はスーパーで買ってきた食材の中から一本のサツマイモを取りだし、アルミホイルに包んで、期待とともに火の中へと放った。
なぜ一本しか入れないのかと彼は不思議がっていたが、一本しか売っていなかったなどと、テキトーな嘘をついてごまかした。

「そろそろかな」
私がそうつぶやくと、彼は鉄製のトングでサツマイモを取り出し、アルミホイルを剥がし始めた。
こういうことを率先してやってくれる彼は、とても男らしくてかっこいいと思う。
そして、彼はサツマイモをぽくっと半分に折り、その片割れを私に差し出した。
『はい、はんぶんこ』
「ありがと」
分かっていたのに、なんだか照れくさい。
この火照りは焚き火のせいか彼のせいか、よく分からない感覚になった。
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公開:20/08/28 20:00

日常のソクラテス( 神奈川 )

空想競技コンテスト銅メダル『ピンポンダッシュ選手権』
空想競技コンテスト入賞  『ダメ人間コンテスト』
ベルモニー Presents ショートショートコンテスト入賞 『縁茶』
X (twitter):望月滋斗 (@mochizuki_short)

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