スパルタ配達員

―お荷物をお届けにまいりました。今アパートの下にいます
―え、今家にいません。午後でお願いしたんですけど
―じゃあまた明日
―急ぎなんです、午後来ていただけませんか
―いや、午後は働きませんから
イラっとするもここで彼を怒らせても何の得にもならない。
―無理言って申し訳ないんですがちょっと待っていただけますか、自転車で10分で戻ります
―だめです。10分も待てません
―お願い！明日じゃ困るんです
―10分も待てません
―じゃあ5分
―5分したらすぐ出ますよ
傲慢なヤツ！と思いつつも荷物のために自転車を飛ばす。鼓動が高鳴り景色がびゅんびゅん飛んで行く。間に合った！息も絶え絶え合図をすると配達員がトラックから降りてきた。
―すごい！５分かかってません！新記録おめでとうございます！！
配達員は拍手とともに荷物とトロフィーを差し出した。全力で自転車をこぐのは気持ちよくイライラはスーっと消えていた。