目移り王座決定戦

S国の王が言った。
「王家の子孫繁栄のためには一夫一妻制ではいかん。何人もの女性を愛することができる若い男をワシの王子として迎え入れよう！」
何だか分からぬ鶴の一声で大臣たちは国中を飛び回り、それなりの肉食男子を選りすぐり集めた。

「ここに目移り王座決定戦を執り行う！」
ルールは単純明快。男は用意された数十人の女性から順番に口説いてもらい、無事全員に対して恋に落ちたと王に判定されれば優勝、という何とも有り難い戦いである。
男たちは順番にステージに立つと、目をハートマークにしたり、愛の言葉を囁いたりして王にアピールした。中には、文字には起こせない行為までやってのけたツワモノも現れた。

その口説き・口説かれっぷりを見て王は慌てた。
「みな見事な目移りじゃ…やっぱりワシには決められん！お手上げじゃあ！」
王の側近には、特例で認められた20人の妻が様々な表情で立ち並んでいた。