遠吠えリレー

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「じいじ、こんなに遅くにどこ行くの?」
「今夜は特別な日なんじゃ。お前も来るか?」
「なになに?うん、行く!」
「この辺の猟師たちはな、狩りの時、遠吠えして仲間に自分の居場所を教える。その習わしがいつの間にか『遠吠えリレー』という競技になってな。この山での開催は20年ぶりじゃ。」
山の麓に着くと、競技開始を知らせる花火があがる。
あたりに静けさが戻ると、山頂の方から第一奏者の悲しいバラードのような遠吠えが聞こえる。胸が締め付けられるようだ。
第二奏者はフラメンコの情熱的で力強い遠吠え。
ちょっとずつ近づいてきている。
第三奏者は、ハスキーボイスのはじけるロックンロールな遠吠えだ。
すぐそこから聞こえるのはアンカーか。
観客をかき分けていくと、気持ちよさそうに遠吠えしていたのは紛れもなく、じいじだった。
いぶし銀のこぶしがきいた遠吠えは有終の美を飾るように満月の夜に響き続けた。
その他
公開:20/08/25 22:59

いけたかはしこ

右脳活動したくてショートショート書いてみようと挑戦中です!

空想競技2020入賞∶ 遠吠えリレー

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