人魚姫
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薄紫混じりのピンク色した雲。
夕陽も濃いめのピンク。
海面の小波さえ染まる。
鱗を1枚。もう1枚。
指先ほどの細かい貝殻のようなそれを集めていく。
桜貝色、菫色、薄墨色。
1つ思い出しては、1枚拾う。
あの日彼女が消えた日から、この海岸には鱗が落ちているようになった。
どんな思いで暮らしていたか、彼女のお姉さんから聞いた。
病で寿命が幾分も残っていなかったこと。
薬の副作用で声はほとんど出せず、脚には激痛が常に伴った。その中で笑顔で暮らしていたと。
僕のことが、好きだったと。
記憶の片隅に柔らかい笑顔。
僕の姿が見えると走りよってきた。
きっと脚は飛び上がるほど痛かっただろう。
そんなことは微塵も感じない軽さで抱き着いてきたから、知らなかったんだ。
1つ思い出し、1つ後悔する。
鱗を1枚。また1枚。
君の残骸だと思って丁寧に拾う。
夕陽も濃いめのピンク。
海面の小波さえ染まる。
鱗を1枚。もう1枚。
指先ほどの細かい貝殻のようなそれを集めていく。
桜貝色、菫色、薄墨色。
1つ思い出しては、1枚拾う。
あの日彼女が消えた日から、この海岸には鱗が落ちているようになった。
どんな思いで暮らしていたか、彼女のお姉さんから聞いた。
病で寿命が幾分も残っていなかったこと。
薬の副作用で声はほとんど出せず、脚には激痛が常に伴った。その中で笑顔で暮らしていたと。
僕のことが、好きだったと。
記憶の片隅に柔らかい笑顔。
僕の姿が見えると走りよってきた。
きっと脚は飛び上がるほど痛かっただろう。
そんなことは微塵も感じない軽さで抱き着いてきたから、知らなかったんだ。
1つ思い出し、1つ後悔する。
鱗を1枚。また1枚。
君の残骸だと思って丁寧に拾う。
公開:20/08/27 00:33
色合いの綺麗な物語を紡ぎたい。
シーンごと切り取られた刹那。
不思議、恋愛、ファンタジー、怪談、純猥談などをチラホラと。
中身はお酒が好きなアグレッシブ。
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