妄想の精度

9
5

俺は今、妄想競技会場で自分の順番を待っていた。今まで、この妄想の優劣を決める大会に向けて、自分の学校生活を費やしてきたのだ。だから、絶対に負けるわけにはいかなかった


「いい妄想でしたね。それでは次の方」
若い女がスクリーンに繋がれたヘッドギアを装着して、目をつむり始める
すると白馬に乗った王子がスクリーンに映し出された。
「中々いい妄想ですね。さぁ審査の結果は、60点。右上に空白があたのが仇となりましたか」
ふん、それでは論外だな

次は、老人の妄想
戦国時代の合戦がスクリーンに映し出された
「これは素晴らしい妄想だ。審査の結果は、90点。最高記録だ」
確かにいい妄想だ。だが俺には遠く及ばないな

次は俺の番だった。俺は、力を込めて丁寧に妄想した。映し出されたのは読書をしている俺の姿。服のしわまで再現した、完璧なものだ

さぁこれなら


「これは妄想ではなく回想ですね。失格とします」
その他
公開:20/08/26 18:12
更新:20/08/27 23:15

ひややっこ( 東京 )

読者と漫画が好きな男です

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