休止中

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 小さな少年がテレビを見ている。けれど多くの番組があっても少年には観たいと思う番組が無かった。少年の心は、説明できないけれど放送局が提示したものでは満たされなかった。
 少年は、テレビのリモコンスイッチをテーブルの上に置くと、テレビ本体の横にある小さなスイッチを押した。
 テレビの画面は切り替わり、灰色と茶色の混じった砂嵐のような画面になった。音は、音楽は無く、ただ「ザーザー」という雑音のような音だ。他に何も見えない。けれど時折、何か形のあるものが映るのだ。少年はその画面が好きで、最近よく何時間も見ていた。けれど、これを見ていると親によく叱られた。そして今も、
「坊や、またそんなのを見てるのね。これは見てはダメって言っているのに……」
 母親は当惑したような顔をした。テレビには、「只今、D7地区市街を映しています」とテロップが出た。
 この核シェルターに住んで、親子は12年になる。
その他
公開:20/08/26 16:42

N(えぬ)( 横浜市 )

読んでいただきありがとうございます。(・ω・)/
ここに投稿する以外にも、自分のブログに同時掲載しているときがあります。

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