ルナウイルス

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「これは……」
「間違いない」

新型ルナウイルスの猛威が列島を襲って半年。全国の死者数は十万人を超え、史上最悪のパンデミックとしてニュース速報が鳴り止む日はない。

世界的な流行にも関わらず、国内での死亡率が圧倒的に高かった。二人の科学者が研究を重ね、その理由がついに判明した。ルナウイルスは体内環境で一度ランダムに変異したあと増殖を始めるという特性を持っていた。

「協調型ウイルス?」

そうです、と二宮博士は応えた。

「つまり、遺伝的距離をもつ複数種のルナウイルスが体内に存在する場合、致死率が低下することがわかったのです」

そう言って、隣の三宮博士に突然ディープキスをした。

記者の男はあんぐりと口を開けた。

「こうやって濃厚接触することで私と彼のルナウイルスを混合するんですよ、そうすれば死なずに済む」

文化のために死ぬか、超越するか。

未来は彼ら自身の手に委ねられている。
SF
公開:20/08/26 15:35

レオニード貴海( 某海なし県 )

さまようアラフォー主夫

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