竜とフリッツ

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防火鎧に身を包んだ近衛連隊長フリッツは巨大なブラシを手に生臭い汚れをこすり落としていた。

突如、鈍い音が洞窟内に轟き、フリッツは無意識に身をかがめた。

「かんべんしろ」

熱風の気配がないので、彼はまた作業を続けた。


つかの間の平和の後、王国を再び戦火が襲った。敵の勢力はかつてなく強大で、無慈悲だった。

「第3連隊、全滅です、頼りの鋼鉄兵団も虫の息、我々は……」

絶え絶えの息で報告する兵士の続く言葉を誰もが予期した。

「どこへ向かう気ですか、隊長」

「近衛連隊は王を護る軍隊だ、だが街がやられては、国も王もない」

フリッツが連隊を率いて街へたどり着いたとき、敵兵たちの叫び声が聴こえた。

「あいつ」

かつて王の助けた竜が、炎を吐き、翼の風で敵をなぎ倒している。

「あんまり食うなよ、あとが大変なんだからな!」

フリッツたちは剣をかかげ、叫び声を上げながら敵陣へ突撃した。
ファンタジー
公開:20/08/26 14:50

レオニード貴海( 某海なし県 )

さまようアラフォー主夫

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