kyogi kyogi

　僕が競技を始めて十年になる。
　トラック競技の花形、百メートル走の選手達が並ぶ。
　フラッグが振られ、号砲代わりのスタートが切られる。
　何時も然うだ。
　競技をしている間、速い選手達は、喝采を浴びる。
　中には、高校生だというのに、取材を受けている選手もいる。
　地味な僕等とは、大違いである。
　トルコ石はトルコで採られた事がないと小耳に挟んだ。
　僕等の役割は、彼等の補佐だ。
　昔から、然うだった。
　新種の此の競技は、今ではメダリスト迄いる。
　フラッグを振って、今の百メートルを『協議』。
　其れが、僕等の『競技』である。
　協議競技。其れが、僕等の今日びであった。