空想競技会

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「さあ、今年も世界空想競技会が始まりました!」と、テレビのレポーターが興奮気味に叫んでいる。
「メイン会場はここ、新国立競技場。絵画部門、動画部門が行われております。中にいる橋本さん」
「はい、橋本です。今年も世界中から沢山の空想が集まってまいりました。過去・未来、宇宙・異次元、生物・非生物、ありとあらゆる空想たち。しかしここは闘いの場。誰しも思いつかない奇想天外、奇妙キテレツな空想を生み出したものが勝者です!」
 観客の一人、老人にマイクが突きつけられる。
「如何ですか」
「皆さんすごい空想力ですな」
「選りすぐりの選手たちですからね。でも空想は誰にも出来ます、あなたも如何です?」
「いや、ワシにはとてもとても……」
 老人は手を振る。

 自らの住処へ戻った老人は、先ほどまで存在していた会場を見下ろす。
「ワシに空想はできん。全て実現してしまうからの」
 と、神は羨ましそうに呟いた。
SF
公開:20/08/24 22:17

八川克也

ショートショートは難しい。

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