帰省花火
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去年の夏に捕まえて、一年間飼っていた花火が、突然逃げ出した。
窮屈にならないよう、大きめな虫かごの中に入れておいたはずなのに。
今年の夏は花火大会がいたるところで中止になって、家にいる花火を眺めるのが楽しみだったのに。
僕は花火を探した。家の近くの林。最初に花火と出会った港。
夜が街中を包み込んで、家々の明かりが付き始めたころ。見つかった。
花火は、海の中からさぱり、と音を立てて顔を出した。顔、というのはあくまで例えだけれど。
自分が生まれた港に一度は帰ってきたかったのかもしれない。まるで実家に帰省するみたいだなと思った。
パチパチと音を立てながら、花火はゆっくり僕の方にやってくる。
僕が虫かごを差し出すと、すい、と入ってくれた。もしかしたら嫌がっていたのかも、悪いことをしたなと思っていたから、すんなり戻ってくれて嬉しかった。
家に帰る途中、花火は微かに潮の匂いがした。
窮屈にならないよう、大きめな虫かごの中に入れておいたはずなのに。
今年の夏は花火大会がいたるところで中止になって、家にいる花火を眺めるのが楽しみだったのに。
僕は花火を探した。家の近くの林。最初に花火と出会った港。
夜が街中を包み込んで、家々の明かりが付き始めたころ。見つかった。
花火は、海の中からさぱり、と音を立てて顔を出した。顔、というのはあくまで例えだけれど。
自分が生まれた港に一度は帰ってきたかったのかもしれない。まるで実家に帰省するみたいだなと思った。
パチパチと音を立てながら、花火はゆっくり僕の方にやってくる。
僕が虫かごを差し出すと、すい、と入ってくれた。もしかしたら嫌がっていたのかも、悪いことをしたなと思っていたから、すんなり戻ってくれて嬉しかった。
家に帰る途中、花火は微かに潮の匂いがした。
ファンタジー
公開:20/08/26 05:30
スク―
潮の匂いがする花火
たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!
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