ラジオ体操バトル

　港町に健康パークができた。健康的な遊具があるらしい。さっそく行ってみると有料だった。お小遣いが足りなくて帰ろうとすると、海から爺さんの声。
「ラジオ体操バトルやらんか少年」
　海の上にジャングルジムが浮かんでいて、その天辺に白い体操着と白い帽子の爺さんが立っていた。
「ラジオ体操バトル？」
「わしに勝てばフリーパス券をやろう」
　ジャングルジムは二人乗りの遊具らしく、揺れて落ちそうだ。
「ラジオ体操終了まで、ジムに残れば勝利だ」
「わかった」
　僕は挑戦することにした。
　ラジオ体操の音楽が流れてきた。
　爺さんは体操をしながら、絶妙なバランスでジャングルジムを揺らす。僕も負けずに揺らす。この攻防を繰り返し、僕は爺さんが跳躍した瞬間を狙った。油断した爺さんは頭から落下した。
「見事だ少年」
　僕はフリーパス券を獲得した。
「筋がいい。わしの弟子にならんか」
「それはパスさせてもらいます」