太陽産スイカ

近所の八百屋で、太陽産スイカというものを見つけた。
なんだか表面がじんわりと温かく、このスイカの種を飲み込むと、心の奥底から太陽のような情熱が芽生えてくるらしい。
そういえば、ぼくの大好きなサキちゃんは、熱い男性がタイプと言っていたような。
買って帰り、包丁で切ってみると、中から湯気が出てきた。
早速、その熱々のスイカをかじり、種を飲み込んでみる。
すると、すぐさま情熱が芽生えてきた。
思いが溢れ、ぼくはサキちゃんにLINEをした。
「デート！行きましょう！！！」
返事が来た。
『ぜひ！』
よっしゃ！　LINEの文面でも熱い男が伝わった。

それから何度かデートを重ね、ついに告白した。
すると、サキちゃんは『さすがに暑苦しい』と言い、ぼくをフッた。
たしかに、太陽産スイカを食べたせいか、デート中は常に汗だくで、熱中症で何度も倒れた。
ちきしょう！　ぼくは家に帰り、太陽産スイカを叩き割った。