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「うむ、ついに完成したぞ」
R博士の声を聞きつけて、隣人の男がやってきた。
「今度は何ができたんです?」
家の机には青色の液体が入ったフラスコが並んでいる。
「隣人のよしみだ、教えてあげよう。これは水中でも呼吸できるようになる薬なのだ。私は昔からカナヅチで、これまで友人から海水浴の誘いをもらっても断っていた。しかし、これがあれば私も自由に泳げる、という訳だ。」
「それなら僕にも少し分けてください。同じ境遇なんです。」

男は早速近くの海に効果を試しに来た。
薬をごくりと飲み干して海に潜り、息をしてみる。
「大丈夫だ!」
水をがぶがぶ飲んでも苦しくないことを調子に、沖の方まで潜水した。

「さてどのあたりまで来たかな」
男は浮上しようとしたが、いくら水を掻いても上に行かない。
「しまった。水を飲みすぎた。」

翌朝、男は漁師の置網にタコやクラゲと一緒に、どしゃっと漁船の甲板に打ち上げられた。
SF
公開:20/08/31 18:00
更新:20/08/31 11:01

まのじゅん( 神戸 )

まのじゅん/間野 純
神戸市在住の26歳
執筆は2020年春ごろから

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